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労働災害が起こったら何をすべき?何が起こる?

想像してください。
あなたの職場で労働災害が発生しました!

あなたがこれからやるべき事、あなたにこれから起こる事は、大まかに次の通りです。

以下、ポイントを見ていきましょう。


被災者の治療

まずは、被災者の治療が最優先です。最寄りの労災指定病院等で治療を受けましょう。

重大災害であれば救急車の出動要請、警察への通報、労働基準監督署に連絡してその後の処置についての指示を仰ぐなどの対処が必要です。

労働災害の治療費は、労災保険から支払われます。
通常の私傷病による治療とは違い健康保険証は使えないので、注意しましょう。

労災指定病院等で治療を受けた場合
治療費は、病院から労働基準監督署に請求。患者は支払いの必要なし。

やむを得ず労災指定病院等以外で治療を受けた場合
治療費は、一旦患者が立て替える。後日、その費用が現金で患者に支給される。

災害の事実関係を把握する

誰が、いつ、どこで、なぜ災害に遭ったか、現認者(事故を見ていた人)は誰か、などをできるだけ詳しくメモしておきましょう。

これらの情報は、労災申請書類を書くときに必要となる他、

  • 労働基準監督署長による労働災害の認定
  • 保険給付に関する不服申立・行政訴訟
  • 警察官・監督官の捜査(業務上過失致死傷罪、労働安全衛生法違反など)
  • 労災賠償裁判(使用者の損害賠償責任、安全配慮義務違反)

などに必要となります。

また、大きな事故では、警察官・監督官の現場検証まで、可能な限り災害現場の保存に努めることも必要です。

災害後の早い段階で、災害の事実関係をしっかりと把握しておくことは、事業者・被災者・遺族のいずれにとっても大変重要です。

届出・申請をする

労働災害が起こったら、労働基準監督署への災害発生報告や、保険給付を受けるための手続きが必要です。詳しくは労働災害の手続きガイドでご説明します。

基本的には、被災者もしくは遺族が提出すべき申請が多くなっています。しかし実際には、会社の証明や添付書類を求める届出・手続きが多いため、通常は会社が被災者・遺族に代わって手続きをします。

再発防止策を講じる

災害発生の事実関係を把握した後は、同じような災害を繰り返さないように、再発防止対策を講じることが大切です。

災害の直接的な原因だけでなく、間接的な原因にも目を向けて、どうすれば災害を防止できるか、未然に防げるかを検討し「労働災害再発防止対策書」として記録することも重要です。

再発防止対策は、実施後も定期的に見直すとよいでしょう。

必要な捜査に応じる

労働災害は、労災申請書類の提出を受けて、所轄の労働基準監督署長が認定します。認定前に、必要に応じて被災者・関係者の事情聴取、会社からの資料取り寄せ、事故現場への立ち入り調査、被災者を治療した医師からの意見聴取などが行われます。

大きな事故では、労働基準監督署の監督官が労働安全衛生法違反事件として捜査をします。多くの労災事件は刑法の業務上過失致死傷事件でもあるため、警察官も捜査を開始します。

また、労災死亡事故をきっかけに、監督官によって事業場の一斉監督が行われることもあり、事業場に安全衛生上の不備があれば注意を受けます。

不服等の調整

労災保険給付に関する労働基準監督署長の決定に不服があるとき、被災労働者や遺族は審査請求や行政訴訟によって不服を申し立てることができます。

また、使用者に安全配慮義務違反や不法行為等があり、労働災害で被った全損害が労災保険給付だけでは補完できないとき、被災労働者や遺族には労災賠償裁判で使用者に賠償を求めるという手段もあります。

 


以上、労働災害が起こったら、何をしなければならないか、何か起こるか。ポイントをご紹介しました。
普段から大まかな流れを把握しておくことが、もしもの時の適切な対処に繋がります。

(参考文献※1、※2、※3、※4、※5、※6、※7)

 

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