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【第1章】1.粉じんの有害性②

1-2 粉じんの有害性とじん肺

粉じんとは物質のごく小さな固体ですので様々なものがありますが、中には鉛などの有害物質を含んだもので中毒症状を起こすものもあります。
また、毒性はなくても長期にわたって吸い込み続けると、肺に悪影響を与え呼吸が困難になるといった症状をもたらす場合もあります。
例えばかつて石炭などの鉱山で働く人たちが鉱石の破砕などによる粉じんを長期間吸い続け、多くの人がじん肺という病気になったため、じん肺法(昭和35年)という法律を作って規制した経緯があります。

鉱石だけでなく、金属、研磨材、炭素原料、アーク溶接のヒューム等の粉じんを吸入すると、比較的粒子の大きなものは鼻孔や気管支等に付着して「たん」となって体外に排出されますが、微細な粉じんは肺の奥深くの肺胞にまで入り込み、そこに沈着します。
これらの粉じんを吸い続けると、肺内では線維増殖が起こり、肺が固くなって呼吸が困難になります。これがじん肺です。

「じん肺法」では、じん肺とは「粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病」と定義されています。
じん肺の初期にはほとんど症状がありませんが、病気が進んでくると呼吸器症状が出てきます。
じん肺に見られる最も多い症状は咳、痰、喘鳴、息切れです。
心不全を合併すると下肢に浮腫が見られることもあります。
肺炎などの呼吸器感染症にかかりやすく、病状悪化の主な原因になっています。
結核、肺がん、気胸などの合併症がみられることもあります。
じん肺は離職後も少しずつ病状が進行する場合があります。
低酸素血症が進むと、酸素吸入療法が必要になる場合もあります。

粉じんの有害性とじん肺

じん肺になると、肺結核などの合併症にかかりやすくなり、現在次の6つの呼吸器疾患が合併症に指定されています。

1)肺結核
 咳や痰の増加、発熱、血痰などが見られることがあります。
 周囲の人に感染する場合もありますので、早期発見が重要です。

2)結核性胸膜炎
 肺の周囲に胸水がたまります。
 発熱や胸痛が見られることがあります。

3)続発性気胸
胸痛、息切れで発症します。肺の表面が破れ、空気がもれるために肺が収縮した状態になります。胸部レントゲン検査で診断します。

4)続発性気管支炎
1年のうち3ヶ月以上毎日のように咳と痰があります。起床後おおむね1時間のうちに膿性痰が3cc以上みられます。

5)続発性気管支拡張症
 膿性痰や血痰がみられます。胸部レントゲン検査やCT検査で診断されます。

6)原発性肺がん
平成15年から合併症として取り扱われるようになりました。
じん肺の健康診断でも、細胞診や胸部CT検査が導入され、肺がんの早期発見につとめています。
咳や痰の増加、血痰が見られることがありますが、自覚症状が全くないこともあります。

じん肺の管理区分は粉じん職歴、呼吸困難度、胸部レントゲン分類、呼吸機能検査動脈血ガス分析の結果を総合的に判断して決定されます。
じん肺管理区分は粉じん作業従事者のじん肺予防のための作業内容の監督や指導、健康管理の指標となります。

じん肺管理区分と胸部レントゲン分類の関係

なお、日本産業衛生学会は各種粉じんを有害性の程度により分類し、それぞれの許容濃度を勧告として発表しています。

粉じんの許容濃度

 

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