4つのSから成る「4S」の基本

「4S」は4つのS、つまり整理(Seiri)、整頓(Seiton)、清掃(Seiso)、清潔(Seiketsu)の頭文字を取ったもので、躾(Sitsuke)を加えて5S運動を推進しているところもあります。
4Sの一つひとつの言葉や意味は誰でも知っている身近なものであり、従って私たちの日常生活と全くかけ離れたものではありません。

例えば、「物置においたままの使わないものや壊れたものは処分する」のが「整理」ですし、「洋服を、着る人や季節別に分けてすぐに取り出せるように収納すること」は「整頓」です。
また部屋やバスルームを片付け、ゴミや汚れ・ほこりを除くことは「清掃」ですし、外出先から戻った時は手洗いやうがいを励行したり、常に洗濯された衣類を身にまとうことは「清潔」にあたります。毎日の挨拶や約束事をきちんと守るといったことは「躾」の成果でしょう。
これらのことは、日常生活ではあまりに当たり前すぎて、ルールとして特別意識することが少ない事柄ばかりです。
そんな「当たり前のこと」をことさら取り上げて、「運動」や「活動」として展開する理由はどこにあるのかを考えてみたいと思います。

もし何年も家庭で整理を怠って、「壊れたもの」や「使わないもの」だらけになったらちょっと困りますね。そんなことになればスペースも足りないため「整頓」や「清掃」のしようもなく、挙句の果てにゴミもたまり放題で・・・どこかの「ゴミ屋敷」のようになってしまいそうです。そこまで行くと「我が家」だけの問題ではなくなりそうですが、それでもまあ、何とか生活ができなくはないかもしれませんね。

さて、企業(事業)活動ではどうでしょう?
「整理」を怠ると「もの」が増えます。
このうち不要な「もの」も一人前(?)に保管場所を取りますから、増えていくと保管スペースもその分狭くなり、必要なものと不要なものが混在していきます。
そうなるとだんだん「多くのものの中から必要なものを探す」という作業が始まります。
例えばパソコンのデスクトップ画面が、背景が見えないほどのアイコンで埋めつくされている状態や、もう終わった工事や製造工程で使用した材料の余りが、使うあてもなくいつまでも保管されている倉庫、必要の都度買い足した工具や材料でいっぱいになった工具箱、処理済みの書類をそのまま重ねて収納している引き出し・・・などは、大なり小なり目的物を探さなければならない状態と言えるでしょう。
そして企業活動で「わざわざ必要なものを探すという作業はできるだけ避けたい」、ということに間違いはなさそうです。当たり前ですが、「業務に必要なものを探す作業」を1年続けても何の利益も生まないからです。

そして、一番大きな問題は「業務に必要なものを探す作業」そのものではなく、「それを仕事だと思っている人がいる」、ということであり、さらに「そのことに何の疑問も持たず日々過ぎている職場」だということです。

さて、「整理・整頓を怠る弊害」については、実際にこんな話があります。
ある中小企業さんで、30年前に製造しずっと在庫していた製品が売れました。その会社の創業者である会長さんがそれを知って随分喜ばれ、「処分すれば費用が掛かるが、こういうこともあるからやはりものは大切にしなければならない」と感慨深げに話されました。ちなみに、この会社の棚卸は年に二回です。
つまりその製品は60回棚卸で確認され、しかもその間相当の回数置き場を移動していたに違いありません。もちろん出荷の際はそれなりに美装コストも掛かっており、販売時点で年数に応じた値引きもしています。
何かため息の出そうな話ですが、事実です。
勿論これは極端な例ですが、「企業活動において、ものは存在するだけでコストがかかる」ということが申し上げたいことでした。

また、このことは製品や材料などの「在庫」に限りません。厳密に考えると鉛筆1本でも場所を取ればそれ(占有面積・空間)だけでコストが発生していますし、収納のため移動させれば人件費も掛かります。鉛筆が利益を生む可能性があるのは、人が使って文字を書いている時だけなのです。
例えば皆さんがコンビニエンスストアのオーナーだったらどうでしょう?限られたスペースで売れ筋のもの、単価が高く利益率の良いものをできるだけ沢山置きたい、と思いませんか?そして企業活動において「スペース」はタダで調達されているでしょうか?

まとめてみましょう。
「整理・整頓を怠ると利益を生まない作業が生じ、さらに、本来不要なものにコストが掛かることになる」
そして「最大の問題はそれを放置している職場の意識レベルである」
つまり4Sを通して求めたいことは「意識改革」なのです。
また、逆に「意識改革」無くして4Sの成功はあり得ません。

さらに、4Sがしっかり実践されているかどうかは、内部の問題だけに留まりません。
外部の人間、お客様にとっての判断の材料になり得、4Sは会社や製品への評価、つまり業績につながるということです。
論より証拠、世界のリーディングカンパニーであり、徹底的にムダを省くことで知られている、トヨタさんの有名な生産方式「カイゼン」の基本部分にも、4Sや5Sの考え方が重用されているのです。

ちなみに「清掃」とは「整理・整頓」がなされている状態を維持するため必要な作業であり、「清潔」とは「整理・整頓・清掃」という行動基準が徹底され、実行されている状態そのものを指します。

それでは以上を念頭に、あらためてこの4つのSについてご紹介していきましょう。

 

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