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1番目のS、整理とは

まず1つ目の整理は、必要なものとそうではないものを区別・分類し、不要なものを取り除くことです。この場合の「もの」とは物理的なモノに限らず、作業スペースや業務用の情報なども含みます。

◆何が必要で何が不要なのかを決める

皆さんの職場は「使えるもの」だらけのはずです。
※万一「使えないもの」が保管されているような職場の方にお読みいただいていたら、非常に有難く思います。4S活動の効果が大いに期待できるからです。そして、この文章を読んでおられる今がスタート(リスタートかもしれませんが)の時期ではないでしょうか。
それらの「使えるもの」を次の三つに分けてみましょう。

①使うもの

今まさに業務に必要なものであることを確認しましょう。
(このボールペン毎日使ってるよなぁ)
その中で必要最低限の数量以外のものは②又は③の項目に分類しましょう。
(黒が二本あるけど一本あればいいか)
効率や品質の点で他にもっと良いものや方法が無いか検討してみましょう。
(書かなくてもいい方法があれば筆記用具も紙もいらないんだけどなぁ・・・)

②使う予定のあるもの

明らかに使うことがはっきりしているものかどうか確認しましょう。
(ボールペンは今後も確かに使うけど)
次に「在庫(キープ)」しておくべきものかどうかについて考えてみましょう。
(う~ん、ボールペンはまとめ買いして書けなくなったこともあったし、保管場所も取るし、いつでも調達できるからなぁ・・・1本あればあとは③でいいか・・・)

「整理」の項目で一番悩ましいのはこの段階です。
言い換えれば、ここが「整理」、いや4Sのポイントと言ってよいかもしれません。

「使う予定」の定義があいまいだと、すべての「使えるもの」は「使う予定」があるものになってしまいかねません。そうでなくても通常私たちの心には幼いころから時間をかけて「モノを大切にする」という徳目が刻み込まれていますから、ついつい「あれもまだ使える」「これも使うかもしれない」「お金をかけて買ったのだから処分するのはもったいない」と考えて、企業(事業)活動にとっては不要なものを残してしまいがちです。
ここはシビアに考えてみましょう。

企業活動の会計的な一面は、資本の回転効率を高め収益を確保することです。
在庫(モノを保管しておくこと)は資本が回転せず停止した状態であり、そのままでは収益を生むことはありません。
商品は売れて初めて収益であり1年陳列していても収益は生みません。
工具は使って初めてそのものの効果、つまり付加価値を生みますが、工具箱で眠っていても邪魔なだけです。
さらに、在庫(商品や材料にかかわらずモノを保管すること)は収益どころかコスト(費用)の発生を意味することも前述しました。
そして、私たちはつい目の前の「モノ」に気を取られてしまいますが、問題はそういう不要な「モノ」を生み出し、さらに保管までさせてしまう職場の「意識」にあります。
モノの要・不要、使うか使わないかについて考えることは、まさに「企業(事業)活動としての日々の業務のあり方」について考えることにほかなりません。

これらのことを踏まえたうえで、保管・在庫することに正当な理由があるものだけを残し、それ以外は③ということになります。

   

③使う予定のないもの

①と②以外のもの全てです。

職場は自分ひとりではありませんから、自分が必要なものでも、他の誰かには不要なこともあります。人それぞれ、判断基準が異なるので、共通項を決めることが大切になってきます。
皆がわかる判断基準について「現状の仕事で必要なもの以外は必要がない」とシンプルに考えます。言い換えると時間軸で決めるということです。
そうするとモノによって、①使うもの、②使う予定のあるもの、③使う予定のないものが判別しやすくなると思います。
①と③に関しては、要不要がはっきりしています。問題は②ですが「いつ」というのは「いつまでなのか」とはっきり決めることが肝要です。例えば一週間、一カ月、三カ月……とそれぞれ分けて決め、期限内に使わないものは潔く処分することも必要です。

◆不要なものを処分する。

「使う予定がないもの」は処分しましょう。
処分の際に考えるべきことは、それこそ「もったいない」についてです。

①「うちの事業所(持ち場)では使わないけどまだ使えるもの」は社内・社外での再使用〔=リユース(reuse)〕先を探しましょう。

②「ものとしての使用はできないが、資源として再利用できるもの」は再生利用〔=リサイクル(recycle)〕を考えましょう。

③ 上記以外のものは速やかに廃棄しましょう。

この時に、売り上げ現金が伴う場合や、「もの」によっては「固定資産」に分類されている場合もあり、会計上の処理が必要となるケースがありますので、経理部門の方とも報告・連絡・相談を欠かないようにしましょう。

また、これは極論かもしれませんが、「整理とは捨てることだ。」と言い切る人もいるくらい、私たちは捨てることが苦手なようです。
不要決定したあとは、躊躇することなく速やかに必要な処分を行いましょう。

◆一目で分かる不要品カード

③については、修理不能の装置や部品、仕様が変更になったものなど、不要なことが明らかになっています。それなのに未だに処置がはっきりしないのは、管理・監督者がその判断を怠っている場合がほとんどです。
処置をするのに費用が掛かったり、管理・監督者の指示を皆が必要としていることもあります。管理・監督者が要らないものを明らかにし、皆の共通認識を作ることが欠かせないでしょう。

集められた不要品には、どういう理由で不要になったのかよくわからないものが出てきます。そこで、不要な理由や捨てていいのかどうかの目安、処分方法などが分かる不要品カードを作ります。
誰が見ても分かるような見やすい場所に貼っておきましょう。
今まで説明した整理の基準を、職場単位だけでなく工場や社内全体でもルールとして適用することを決めておくといいでしょう。
現場で最初から必要と決められてきたものでも、現状を改善するための新たな基準作りを含め、再検討し整理を行いましょう。そこで統一されたルールを見れば、社内の誰もがモノの要不要が判断できるような基準づくりです。
日常の業務の中で整理日を決め、その日は整理に時間を割くと決め、意識的に整理を行いましょう。

 

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