交通労働災害について

業務中の事故や災害などにより労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することを労働災害(労災)といいます。中でも自動車事故などの交通関係の労働災害を交通労働災害と呼んでいます。近年の厚生労働省の統計資料によると、この交通労働災害による死亡者は全産業の2割以上を占めています。

この対策として同省は1994年に、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)、道路交通法(昭和35年法律第105号)、道路運送車両法(昭和26年法律第185号)、貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号)、道路運送法(昭和26年法律第183号)等の関係法令に基づく措置の一部を総合的に示した指針である「交通労働災害防止のためのガイドライン」を策定しています。また、その後の重大事故の結果などを受けて関連法令が改正されたため2008年及び2013年に同ガイドラインも改正されています。

その後、2016年にも長野県軽井沢町のスキーツアー大学生ら15人が死亡したスキーツアーバス転落事故が発生。若い乗客が命を落とす痛ましい事故となったことは、記憶に新しい方も多いことでしょう。この事故では、事故を起こしたバス運行会社が、運転手に健康診断を受けさせておらず、事故の2日前に道路運送法に基づく行政処分を受けていたことも伝えられています。

こういった運輸・運送業関連の事故は勿論、その他の一般業種においても社有車や営業用トラックによる事故が発生した場合は、自動車を所有し労働者を使用している事業者の管理体制や、経営者の姿勢が厳しく問われることになります。

また、交通事故は労働者が事業者の直接指揮・管理下に置かれていない状況で発生しやすく、当該労働者だけでなく第三者に重大な危害を及ぼす恐れもあるなど、その発生リスクは一般の労働災害よりはるかに高いと思われますが、それにも関わらず、十分な指導・教育等安全対策が取られていないケースもたくさんあるようです。

そこで、労働者に業務で自動車等の運転を行わせる事業者はどのように安全を確保し、事故を起こさないようにすべきなのかについて、考えていきたいと思います。

【目次】

  1. 企業を取り巻く環境の変化
  2. 従業員が交通事故を起こしたら?企業の負う民事上の責任とは
  3. 自賠法に基づく運行供用者責任
  4. 事故によって企業責任が問われるケース
  5. 企業における交通事故防止のあり方

 

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