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リスクアセスメントは「点数をつけて終わり」ではない

リスクアセスメントを行うと、危険性や有害性について「3点」「12点」「リスクレベルⅢ」など、点数やランクがつくことがあります。

そこで、

点数をつけた
↓
リスクアセスメント終了

となってはいないでしょうか。

点数やランクは、どの危険から優先して対策するかを判断するための材料です。

点数そのものを出すことが、リスクアセスメントの目的ではありません。

ここでは、当協会の「安全管理者選任時研修」テキストと厚生労働省の資料をもとに、リスクを見積もったあとに何をするのかを確認してみます。

そもそも「点数」は何のため?

リスクアセスメントでは、危険性・有害性によって起こるおそれのある負傷や疾病について、重篤度や発生する可能性などを考慮してリスクを見積もります。

点数化する方法では、例えば、

事故が起きたらどの程度重大か
+
どの程度起こりやすいか
↓
リスクの大きさを見積もる

という考え方をします。

ここで出した点数は、危険を数字に置き換えて終わるためのものではありません。

どのリスクから優先して低減するかを決めるために使います。

点数は「危険の順位を決めるための道具」

リスクの点数やランクは、その事業場で危険を比較し、優先して対策するものを決めるための材料として使います。

リスクアセスメントは、ここまでが一つの流れ

リスクアセスメントは、リスクを見積もったところで終わりではありません。

危険性・有害性を見つける
↓
リスクを見積もる
↓
対策の優先順位を決める
↓
リスク低減措置を検討する
↓
措置を実施する

点数を出すのは、この流れの途中です。

そこで止まってしまうと、職場の危険はまだ変わっていません。

点数が高かったら、次に何をする?

優先度の高いリスクが見つかったら、次にリスク低減措置を検討します。

当協会の安全管理者選任時研修テキストでは、リスク低減措置を検討するときの優先順位として、次の考え方を紹介しています。

優先 対策の考え方
1 危険な作業そのものをなくす、より危険性の低い方法へ変更するなど、本質的な対策を検討する
2 機械設備の安全装置、隔離、囲いなどの工学的な対策を検討する
3 作業手順、立入禁止、教育などの管理的な対策を検討する
4 必要な個人用保護具を使用する

最初から、

「注意する」
「教育する」
「保護具を使う」

だけを対策にするのではなく、危険そのものをなくしたり、設備で人を危険から離したりできないかを先に検討します。

例えば、回転部分に手が近づく作業なら

※以下は、リスク低減措置の考え方を説明するために当協会で整理した例です。

機械の回転部分に手を近づける作業があり、はさまれ・巻き込まれのリスクが高いと評価されたとします。

対策を考えるとき、

考え方 検討する例
危険源をなくす・変更する その作業自体をなくせないか、自動化できないか
設備で防ぐ ガードやインターロックなどで、回転部分へ手が入らないようにできないか
管理で防ぐ 停止方法や作業手順を決め、必要な教育・監督を行う
保護具 作業内容に応じ、必要な保護具を検討する

のように、順番に検討していきます。

点数が高いものほど「何を変えるか」を考える

リスクの高さが分かったら、その数字を記録するだけでなく、設備・作業方法・管理などのどこを変えればリスクを下げられるかを検討します。

対策を決めただけでも終わらない

対策案を決めても、まだ職場の状態は変わっていません。

例えば、

「安全柵を設置する」

と決めただけでは、事故は防げません。

実際に、

  • 誰が対応するのか
  • いつまでに実施するのか
  • 必要な費用はどうするのか
  • 作業方法の変更は必要か
  • 関係する作業者への説明や教育は必要か

などを決め、措置を実施します。

対策を考えた
↓
実施内容を決めた
↓
実際に措置を行った

対策したら、もう一度リスクを見る

対策を実施したあとも、そこで終わりではありません。

厚生労働省のリスクアセスメント研修教材や業種別マニュアルでは、リスク低減措置を検討したあと、措置実施後に見込まれるリスクを再度見積もる例が示されています。

例えば、対策前に高いリスクだったものについて、設備改善を行ったあと、

対策前のリスク
↓
リスク低減措置を実施
↓
措置後に見込まれるリスクを再度見積もる

という形で、対策によってリスクがどの程度下がるのかを確認します。

対策前の点数だけを見るのではなく、対策後にどの程度リスクが残るのかまで見ることが大切です。

「点数が下がった」だけで安心しない

対策によって点数が下がったとしても、その数字だけで判断するのではなく、実際の作業を確認します。

例えば、設備を変更したことで、

  • 別の場所に新しい危険が生じていないか
  • 作業者が無理な姿勢になっていないか
  • 操作方法が複雑になっていないか
  • 新しい作業方法について教育が必要ではないか

といったことも確認します。

対策が新しいリスクを生むこともある

一つの危険を減らした結果、別の危険が生じる場合もあります。措置後は、点数だけでなく実際の作業状態も確認します。

対策してもリスクが残ることがある

リスク低減措置を行っても、技術上の理由などから、危険を完全になくせない場合があります。

このように、措置を行ったあとにも残るリスクは、一般に残留リスクと呼ばれます。

残留リスクがある場合は、

  • どのような危険が残っているのか
  • どの作業で注意が必要なのか
  • どのような手順を守る必要があるのか
  • どのような教育や情報共有が必要なのか

などを明確にし、関係する作業者へ伝えます。

リスクがゼロにならなかったからといって、評価表を閉じて終わるのではありません。

できる対策を実施する
↓
残ったリスクを確認する
↓
必要な措置・周知を続ける

リスクアセスメントを一枚の表で終わらせない

リスクアセスメントの記録表には、

  • 危険性・有害性
  • リスクの見積り
  • リスクレベル
  • リスク低減措置

などを書くことがあります。

しかし、その表を完成させることが目的ではありません。

表に書いた内容が、

実際の改善につながった?
↓
リスクは下がった?
↓
まだ残っている危険は?

まで確認して、初めてリスクアセスメントが職場の改善につながります。

自分の職場のリスクアセスメント表を見てみる

確認してみること 確認
点数をつけること自体が目的になっていない □
リスクの高いものから対策の優先順位を決めている □
「注意」「教育」より前に、危険をなくす・設備で防ぐ方法を検討している □
決めた対策について、誰が・いつまでに行うか決まっている □
リスク低減措置を実際に実施している □
措置後に見込まれるリスクを再度確認している □
対策によって新しい危険が生じていないか確認している □
残留リスクを明確にし、関係者へ伝えている □

リスクアセスメントの点数は、危険を見つけたあと、どこから改善するかを決めるための入口です。

点数をつける。

優先順位を決める。

対策する。

そして、対策後のリスクをもう一度見る。

「評価したか」ではなく、「その評価によって何が変わったか」。

そこまで確認することで、リスクアセスメントを実際の災害防止につなげることができます。

講習テキストでも確認できます

当協会の「安全管理者選任時研修」テキストでは、リスクの見積り、優先度の設定、リスク低減措置の検討など、リスクアセスメントの実務手順を解説しています。

▶ 安全管理者選任時研修「リスクの見積り」を見る

▶ 安全管理者選任時研修「リスク低減措置の優先度」を見る

▶ 安全管理者選任時研修「リスク低減措置」を見る

厚生労働省のリスクアセスメント資料を見る

厚生労働省「職場のあんぜんサイト」では、リスクアセスメントの考え方や実施方法、業種別の資料などが公開されています。

▶ 職場のあんぜんサイト「リスクアセスメント」を見る

厚生労働省のリスクアセスメント等関連資料・教材一覧からも、各種資料を確認できます。

▶ 厚生労働省「リスクアセスメント等関連資料・教材一覧」を見る


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