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【第2章】1 リスクアセスメント②

1-1 リスクとは?

「リスク」を辞書などで調べてみると以下のような説明がされています。

・「危険」や「危機」、危険の生じる可能性、危険度

・将来いずれかの時に起こる不確定な事象とその影響

・何か悪い事が起こる可能性


一方、国際規格ISOにはリスクマネジメント(ISO31000)という規格があり、そこでは一般的なリスクについて以下のように定義づけられています。

ISO31000:2010(JISQ31000:2010)リスクマネジメント


Risk    ;effect of uncertainty on objectives

リスク(risk);目的に対する不確かさの影響

金融や情報管理など広範な「リスク」を対象としているため、不確かさがポジティブな影響をもたらす場合も含んで定義付けしています。

しかし、安全に関するリスクにはポジティブな影響は考えられず、別に以下の定義があります。

ISO/IEC ガイド 51


Risk;
combination of the probability of occurrence of harm and the severity of that harm

リスク(risk) ;
危害の発生確率及びその危害の度合いの組合せ

また、リスク指針では「3 実施内容」で「リスク」について以下の定義付けをしています。

指針

3 実施内容

事業者は、調査及びその結果に基づく措置(以下「調査等」という。)として、次に掲げる事項を実施するものとする。

(2)(1)により特定された危険性又は有害性によって生ずるおそれのある負傷又は疾病の重篤度及び発生する可能性の度合(以下「リスク」という。)の見積り

こちらは文字数が多いので一見難解なようですが、図にすると以下のように単純な形になります。

リスクとは

上記の辞書の例では「何か悪い事が起こる可能性」というのが近いようです。「悪いこと」の程度が「重篤度」であり、「可能性」と「重篤度」を掛け合わせた積が「リスクの大きさ」になります。

また、逆にリスクを減らすには、図の二方向のどちらか(又は両方)を減らせばよい、という考え方としては至ってシンプルなものであることがわかります。


【参考:災害発生のしくみとリスクアセスメント】

災害発生の仕組み

①危険状態→「危険源(ハザード)」と人が接近する

接近しただけでは必ずしも災害に至るとは限りませんが、ここから「リスク」が生じます。なお、リスク指針では「危険源(ハザード)」を「危険性又は有害性」と表現しています。


どちらかが無ければリスクは生じません。このことは、対策の着眼点としても重要です。

危険状態

② 危険事象 → 「危険源」と「人」のニアミス・接触

例)漏電部分に触れる、高所で足を踏み外す、機械の回転部分に触れそうになる、化学物質などのばく露・・

危険事象

③ 回避 → 災害防止措置・機能や保護具、人の回避行動など

例)漏電遮断器、保護メガネ、立入禁止措置・・

回避

●「可能性の度合い(発生確率)」とは①「危険状態」から②「危険現象」が発生し、③「回避」できずに災害に至る確率

●従って、対策は①②③それぞれの段階が考えられ、当然①の発生を防げれば一番良い

1-2 リスクアセスメントとは?

「リスク」に「アセスメント」がついていますが、アセスメントには「調査」、「事前影響調査」、「評価」、「査定」といった意味があります。ですから、リスクアセスメントとは「リスクの調査・評価」といった意味合いになります。なお、現在労働安全衛生の分野(企業や現場など)で使われている「リスクアセスメント」という用語は、評価に留まらず、「調査の結果による対策・改善措置」という意味も含まれているのが一般的です。

従って、実務上のリスクアセスメントとは、『業務のうえで「負傷又は疾病が発生する可能性」がある事象についてリスクの大きさを見積り、必要と判断した場合は対策すること』、といった意味になります。


 

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