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序章②

第3節 安全衛生教育はなぜ必要か

労働災害を防ぐためには災害発生の原因を無くせばよいわけで、つまり職場の「不安全状態」と「不安全行動」を減らしていくことが安全化につながるということです。

そのためにはどんな手段・方法が考えられるでしょうか?

機械・設備を改良・改善していくことや、より安全な作業方法を確立し守っていくこと、点検やパトロールを励行すること、リスクアセスメントや危険予知活動(KY活動)を推進すること・・・様々な手段・手法が考えられますが、「人の不安全行動」を減らす方法としては教育が非常に重要となります。


具体的には、「人の不安全行動」について「なぜそんなことをしたのか」という理由を分析すると、「知らなかった・できなかった・やらなかった・その他(ヒューマンエラー)」の四つに大別されることから、知識教育・技能教育・態度(意識)教育やヒューマンエラー防止訓練などの実施が求められます。


さて、低圧電気取扱特別教育は労働安全衛生法(安衛法)第59条第3項、及び労働安全衛生規則(安衛則)第36条第4号に基づき、事業者に実施を義務付けられている教育です。電気の特性や危険、施設設備の安全上の基準・基本や作業方法・手順などを作業者に教育することにより、電気による労働災害発生を防止する目的のものです。


法令の遵守は当然ですが、一方、法令は過去の災害などを参考に作られた最低限の一般的な基準ですから、違反をしなかったからといって災害が発生しないとは言い切れません。従って、職場の環境や作業内容の実態に合わせて、必要があれば法令以外にも自主的な基準を設け遵守・実践することが大切です。その一つの手法としてわが国では「リスクアセスメント」を努力義務として推進しています。


なお、低圧電気取扱特別教育はあくまで安全に作業を実施するための教育であり、電気工事士などのように作業資格を付与する性質のものではありません。

また、電気工事士による感電等の災害も毎年数多く発生しており、工事士資格の有無にかかわらず、事業者は該当する作業に従事する作業者に対して特別教育を実施する必要があります。


※電気自動車等の整備の業務に係る特別教育について

令和元年10月1日、ハイブリット車・電気自動車等の整備の業務が従来の低圧電気に係る特別教育から分離独立し、新たなカリキュラムで実施することとされました。(本テキストでは扱っておりません。)


【労働安全衛生規則】

第36条

四の二 対地電圧が五十ボルトを超える低圧の蓄電池を内蔵する自動車の整備の業務

【安全衛生特別教育規程】・・・(註:学科6時間実技1時間以上)

(電気自動車等の整備の業務に係る特別教育) 

第六条の二 安衛則第三十六条第四号の二に掲げる業務に係る特別教育は、学科教育及び実技教育により行うものとする。

2 前項の学科教育は、次の表の上欄に掲げる科目に応じ、それぞれ、同表の中欄に掲げる範囲について同表の下欄に掲げる時間以上行うものとする。(表)

3 第一項の実技教育は、安衛則第三十六条第四号の二の自動車の整備作業の方法について、一時間以上行うものとする。


対象の自動車

対地電圧が 50 ボルトを超える低圧の蓄電池を内蔵する自動車には、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車(内燃機関を有さないもの)、燃料電池自動車、バッテリー式のフォークリフト等の車両系荷役運搬機械及びバッテリー式のドラグ・ショベル等の車両系建設機械が含まれること。

註)令和元年8月8日付、基発 0808 第1号「労働安全衛生規則の一部を改正する省令等の施行について」より抜粋

 

 

 

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