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【第3章】第3節 検電器

1.検電器の種類

電気に係る作業を行う時、検電器は生命を守る大切なものです。充電か停電かを判別する場合、必ず検電器を使用します。安衛則第339条(停電作業を行う場合の措置)には、「開路した電路が高圧又は特別高圧であつたものについては、検電器具により停電を確認し、・・・」と規定されていますが、災害事例を見てみますと、低圧の場合も検電をしていれば防げた死亡災害が数多く起こっています。電圧区分にかかわらず、検電の重要さを認識する必要があります。

検電器の種類は、低圧用、高圧及び特別高圧用、低圧高圧両用等があります。低圧用の構造については、大別してネオン発光式検電器と電池内蔵式(電子式・音光式)検電器が有ります。


1) ネオン発光式検電器

ネオン発光式検電器は、充電部分に直接接触させるとネオン管(ネオンランプ)が発光する原理を利用した検電器です。ネオン管の微弱な電流が人体(身体)を介して大地に流れることによって発光させる方式です。

利点➡電池不要。充電部に直接触れるため測定精度が高い。

欠点➡露出充電部でないと検電できません。
絶縁手袋が使用できず、故障の際など感電リスクが高い。


2) 電池内蔵式検電器

電池内蔵式検電器(電子式・音光式)は、近年使用される頻度が多い検電器で、充電部に直接触れることなく電圧を検知し、検電器内部の増幅回路で増幅することによりブザーを鳴らし発光ダイオードを発光させたりする方式の物です。

利点➡直接充電部に触れなくても測定できるため、簡便で安全性が高い。

欠点➡電池及び感度調整が必要。電池切れや電線の被覆の厚さ、近接電路からの影響などにより、不作動や誤作動の恐れがあるため測定精度が劣る。


また、交流用・直流用・交流直流兼用の種別などもありますので、対象となる電圧区分や測定可能範囲と合わせ、用途に適した検電器を選ぶ必要があります。

検電器

2.検電器の使用方法

検電器使用にあたっては、常に充電状態であるという前提でゴム手袋などの保護具を使用します。検電実施前には周囲の状況含め、開閉器の状況、各機器の状況、回路図の確認などをします。

①電圧・交直種別に適合した検電器かを確認する。(高圧用検電器で低圧を検電は出来ない。逆も不可。)

② 目視確認で検電器本体の傷、ひび、先端部の汚れなどの有無を点検する。

③ 電池内蔵型検電器は、テストボタンによって発音・発光を確認する。

④ 検電器チェッカーで動作確認を行う。又、直流電路やコンデンサの残留電荷等は交流用の検電器では検電出来ないので、必ず交直両用検電器等の直流回路が検電出来るものを用いる。

⑤ 検電は各相について行う。

⑥ 検電中は、検電器の握り部以外はみだりに触れない様にする。

⑦ 落雷時は一時中止、雨の中では検電を中止する。


検電器

以上検電に関する事前点検、検電実施についての主な注意事項ですが、大切な検電作業において未だ作業中の事故は多く、不幸にも命を亡くす重大災害も発生しています。検電器では、パイロット点灯を見る、ブザーの音を聞く等、人間の五感を利用して確認しますので、一人の判断で偏らないようできるだけ複数の作業者で確認を行う事が望まれます。


電気を取り扱う者の基本として、常に

「検電」「検電」先ず「検電」!

を、平素の自然行動となるよう頭と体に刷り込んでおかなければなりません。

人は誰でも慣れるに従って「簡単な作業」と思いがちですが、慎重にかつ安全に行う事が肝心です。(作業のやり方が十分身についたからといって、「リスク」が減るとは限りません)


※「リスク」について

最近の作業現場では業種を問わず「リスクアセスメント」という言葉や手法が定着してきていると思われますが、皆さんは作業や日常生活で「リスク」を認識しているでしょうか?

検電器

労働災害のリスクアセスメントは一般に「発生した時のケガや病気の程度(重篤度)」と「発生する確率(可能性)」について見積り、その大きさに応じた対策(措置)を考えて実行する、という手法ですが、作業や日常生活が全て想定通り、計画通りに進むことはまずありません。また、様々な行動場面の全てを想定することも不可能です。そこで必要となるのは行動する人自身に「リスク」を冷静に判断する習慣を身に着けて頂くことです。

例えば車を運転している時に予想以上に混んでいて、決められた時間に間に合うかどうか・・・といったとき、人はどうしてもスピードを上げたり信号無視に近い形で交差点に入ったり、少しでも空いている車線を通るため急な車線変更をしたりしがちですが、それらの行動は全て災害の発生「リスク」を大きくするものだということが、冷静な時には理解できると思います。

「リスク」という考え方を知り、結果を想定して「受け入れても良いリスクかどうか」判断する習慣が身に付いていれば、「少々遅れて叱られるくらいのことで、事故を起こすかもしれないリスクを冒すべきではない」という判断になると思います。

そしてこのことは、作業現場の様々な場面で求められることでもあります。

「リスクアセスメント」という考え方は「リスク」を全て否定するのではなく、その大きさによって「受け入れても良いリスク」か否かをまず判断することが大切なのです。

 

 

 

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