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【第4章】第4節 作業管理

低圧の活線作業、活線近接作業を行うにあたっては、関係法令を遵守することはもちろん、事前に作業手順を決定し作業者に周知したうえで、当日は監督者を定めその指揮下で作業を実施します。また、作業手順について検討する際はリスクアセスメントを行い、可能な限りリスク低減措置を講じておきます。

1.作業手順

労働災害の原因の多くにそもそも作業の手順が定められていないことや、作業者に手順が周知されていないこと、予定外の手順変更に対する不適切な対応など、「作業の手順」に関することが多く挙げられています。

また、その内容についても決して複雑なものではなく、災害発生後は「どうしてこのようなやり方をした(させた)のだろう?」と不思議に思うようなケースが大半です。

「作業の手順を定め、守ること」はあらゆる作業の基本ですので、特に危険を伴う活線作業や近接作業の場合は、あらかじめ作業の手順を定め手順書を作成しておきましょう。また、標準化された作業であっても、必ず作業現場ごとの条件などに合わせて見直しをしておくことも大切です。

作業手順書に記載する事項の例

・作業の名称

・作業目的、内容と作業範囲(必要により図面等の資料添付)

・作業資格

・使用する道工具の種類と数量

・絶縁用保護具の装着

・作業前点検(道工具・保護具・防具・作業箇所)

・関係者への作業開始連絡・周知

・充電部分の防護(防具の装着、絶縁処置等)

・立入禁止措置

・作業方法及び手順と注意点(急所)

・防具の撤去、絶縁処置の解除

・作業終了時の確認、通知

また、感電事故等トラブル発生の際の対処方法についても予め検討し、感電の当事者になった場合の対処や発見者・救助者等の行動基準なども日頃から周知しておきましょう。


2.打合せ(TBM)

作業手順書を基に作業開始前に打ち合わせをします。特に複数の作業者による共同作業に於いては、それぞれの役割分担を確認し手順どおりに効率よく進めていくことが安全作業にもつながります。

電気に関する作業では、些細なことが大きなトラブルを起こすことも多いので、不明な点があれば納得がいくまで確認することも大切です。


3.作業中の監督・指示

活線作業・活線近接作業の際には、特に業務に精通した監督者の選任が欠かせません。また、監督者の役割は作業目的に沿った作業が手順通り行われているか、基準やルールに反する行動が無いかなどを監視し、必要があれば適切な指示を与えることですので、選任にあたっては監督者専任とすることが望ましいといえます。

監督者は当該作業内容や作業手順を確認し、作業開始前には必ず作業者に打合せをする機会を設け、周知します。この時、特に重要な点については問いかけや復唱により、作業者が理解していることを確認してください。また、必ず質問の時間を取り、作業者が十分納得しているか確認することも重要です。

作業中は絶えず作業者の行動を監視し、特に不安全行動を発見した場合は直ちに適切な指導を行うことが求められます。

作業の着手時や終了時の確認の際は人任せにせず、監督者自身の目で確かめましょう。


4.リスクアセスメント

作業の手順に潜む危険性や有害性について、過去の災害事例はもちろん、作業者の意見や経験も参考に事前調査し必要な対策を講じておくことを、一般に「リスクアセスメント」と呼んでいます。

・当該作業の環境や作業条件などにより想定されるリスク

・作業手順書の手順ごとのリスク

・災害事例やヒヤリハット報告によるリスク

などについて検討し、場合によっては作業方法や使用工具を変更するなど、必要な対策(リスクの低減措置)を講じておきましょう。


ビス止めの際のワッシャーを一つ落としたことがきっかけで短絡によるアークでの負傷につながったり、ベテラン作業員が慣れゆえに検電を怠り重篤な後遺症が残る災害が発生するといった、いわば「想定外」のトラブルが発生するのが現実の作業です。

「作業管理」とは、仕様書などを基に作業に関し適切な基準を定め実施を監督していくことが基本ですが、一面として作業に関する様々なアクシデントを想定し、対処方法を標準化して周知徹底・実行することでもあります。

特に管理監督者・指導者の方は

・法令の規定

・過去の事例(自社や同業他社で発生した災害・資料などによる同種の災害)

・作業者の体験(被災・ヒヤリハット)や意見

・作業手順書・作業標準・仕様書などの資料

などを基に、機会を設け日頃から教育訓練を実施するよう努めてください。

 

 

 

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