ラベルとSDS、どう使い分ける?
化学品の容器を見ると、炎やどくろなどの絵表示が付いたラベルがあります。
一方、購入したときにはSDS(安全データシート)が提供されることがあります。
どちらにも危険性や有害性について書かれているので、
と思うことがあります。
ラベルとSDSは、どちらか一方だけを使うものではありません。
同じ化学品について、必要な情報を違う形で伝えるものです。
実務上は、
と考えると分かりやすくなります。
ラベルは「その場で見る情報」
ラベルは、化学品の容器や包装に表示されています。
そのため、実際に化学品を取り扱うときにすぐ確認できます。
GHSに基づくラベルには、主に、
- 化学品の名称
- 危険有害性を表す絵表示
- 注意喚起語
- 危険有害性情報
- 取扱いなどに関する注意書き
- 供給者を特定する情報
などが表示されます。
作業を始める前に容器を見れば、「燃えやすい」「皮膚や眼に有害」「吸入に注意が必要」など、その化学品の危険有害性に気づくきっかけになります。
絵表示だけを見るものではない
ラベルというと、赤いひし形のGHS絵表示に目が行きます。
絵表示は、危険有害性を直感的に伝えるために便利です。
ただし、ラベルには絵表示以外にも、重要な情報があります。
| 表示 | 見るところ |
|---|---|
| 絵表示 | どのような種類の危険有害性があるか |
| 注意喚起語 | 「危険」「警告」など |
| 危険有害性情報 | 具体的に何が起こるおそれがあるか |
| 注意書き | 予防、対応、保管、廃棄などで何に注意するか |
そのため、
だけで終わらず、その横に書かれている文章まで確認します。
SDSは「もっと詳しく調べる情報」
ラベルだけでは、その化学品について分からないこともあります。
そこで使うのがSDS(安全データシート)です。
SDSには、化学品についての情報が16の項目に分けて記載されています。
例えば、
- どのような成分が入っているか
- どのような危険性・有害性があるか
- 身体に付いたときどうするか
- 火災になったときどうするか
- 漏れたときどうするか
- どのように取り扱い、保管するか
- どのような保護具が必要か
- どのような物理的・化学的性質があるか
- どのような健康影響があるか
- どのような法令が関係するか
などを確認できます。
ラベルは限られた面積に重要な情報をまとめて表示します。
より詳しい危険有害性や取扱方法、保護具、事故時の対応などを確認するときはSDSを使います。
同じ化学品を、違う深さで見る
ラベルとSDSは、まったく別の情報ではありません。
同じ化学品について、情報の伝え方や詳しさが違います。
| 確認したいこと | ラベル | SDS |
|---|---|---|
| 何の製品? | 名称を見る | 1項などで詳しく確認 |
| 何が危険? | 絵表示・危険有害性情報を見る | 2項・11項などで詳しく確認 |
| どう扱う? | 注意書きを見る | 7項などで詳しく確認 |
| どんな保護が必要? | 注意書きを確認 | 8項で設備・保護具を確認 |
| 事故が起きたら? | 対応に関する注意書きを確認 | 4・5・6項などで詳しく確認 |
例えば、塗料を使うとき
新しい塗料を使うことになったとします。
まず容器のラベルを見ます。
例えば、炎の絵表示があり、危険有害性情報に引火性について書かれていたとします。
引火する危険がある
取扱い・保管・換気・保護具などを詳しく確認
さらに、実際に自社で行う作業について、
- どのくらいの量を使うか
- 屋内か屋外か
- 火気はないか
- 蒸気が発生するか
- 換気はできるか
- 皮膚に付着する可能性はないか
などを確認します。
そして、SDSから得た情報と実際の作業条件を組み合わせてリスクアセスメントを行います。
ラベルを見ただけで、対策を決めない
ラベルを見れば、どのような危険があるかを早く把握できます。
しかし、ラベルだけでは作業に必要な対策を十分に判断できない場合があります。
同じ化学品でも、使用量、作業時間、換気、作業方法などによって実際のリスクは変わります。
ラベルとSDSから危険有害性を確認し、実際の作業条件を踏まえて必要な対策を検討します。
SDSを読んだから、ラベルは見なくていい?
逆も同じです。
担当者がSDSを確認してリスクアセスメントを行っていても、実際に化学品を扱う人にとって、容器のラベルは重要な情報です。
作業するたびにSDSの16項目を最初から読むのではなく、日常の作業では容器のラベルから危険有害性を確認できます。
SDSを入手して詳しい情報を確認
作業に応じた対策を決める
ラベルを確認し、決められた対策で扱う
厚生労働省の「ラベルでアクション」でも、このようにラベル、SDS、リスクアセスメント、リスク低減対策を一連の流れとして使うことが示されています。
小分けしたら、何が入っているか分からなくしない
大きな容器で購入した化学品を、作業のために小さな容器へ移し替えることがあります。
このとき、元の容器だけに情報があり、小分けした容器が
になってしまうのは避けなければなりません。
表示・通知対象物を別の容器へ移し替えて保管する場合には、「名称」と「人体に及ぼす作用」を、取り扱う労働者が確認できるように明示する必要があります。
なお、一時的に別の容器へ移し替え、その場で使い切り、保管しない場合は、この明示義務の対象とはされていません。
「いつも使っているから分かる」「自分しか使わないから大丈夫」ではなく、保管する容器については、取り扱う人が中身と人体に及ぼす作用を確認できる状態にしておきます。
ラベルとSDSは、こんなふうに使う
| こんなとき | 主に見るもの |
|---|---|
| 作業前に、どんな危険があるか確認したい | ラベル |
| 初めて使う化学品を詳しく調べたい | SDS |
| 必要な換気や保護具を検討したい | SDS |
| 作業中に容器の危険有害性を確認したい | ラベル |
| 皮膚や眼に付着したときの対応を確認したい | SDS |
| 漏れたり火災になった場合の対応を調べたい | SDS |
| 日常作業で決められた注意事項を思い出したい | ラベル |
どちらかではなく、つなげて使う
ラベルとSDSの役割を、単純に分けるなら、
まず危険有害性に気づく
詳しい情報を確認する
という関係になります。
ラベルを見て「危険そうだから注意しよう」だけで終わるのでもなく、
SDSを受け取ってファイルに保存して終わるのでもありません。
ラベルで気づき、SDSで詳しく知り、実際の作業に合わせて対策する。
そこまでつなげることで、ラベルとSDSを化学物質管理のための情報として活用できます。
化学物質管理者講習でも確認できます
当協会の「化学物質管理者講習(取扱事業場向け)」では、ラベル・SDS、化学物質の危険性・有害性、リスクアセスメント、ばく露防止措置などについて学びます。
SDSの見方も確認する
SDSを受け取ったときに、どの項目から確認するとよいかはこちらで紹介しています。
厚生労働省「ラベルでアクション」を見る
厚生労働省では、化学物質のラベルを確認し、SDSを入手してリスクアセスメントと対策へつなげる「ラベルでアクション」を案内しています。
ラベル・SDSの詳しい情報を確認する
厚生労働省では、ラベル表示やSDSの記載、対象物質などについてQ&Aを公開しています。
また、「職場のあんぜんサイト」では、GHS対応モデルラベル・モデルSDSを検索できます。
受講者様のご希望に合わせ、以下のタイプの講習会もご用意しています
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