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【第1章】第1節 低圧の電気の危険性について③

3.許容接触電圧と安全電圧

1 許容接触電圧

例えば、交通法規や建設現場の立入禁止措置などは、人が危険と接触するおそれがあるときに一定の基準を設けて管理している例ですが、電気を扱う場合にも様々な基準があり、その中に「許容接触電圧」があります。

人体が充電部に触れた時の電圧を「接触電圧」、通電すると重篤な危険があるという電圧の上限を「許容接触電圧」と呼んでいます。

あらゆる作業条件において、常に充電部と人が接触しない状態をつくることが望ましいですが、そうかといって一般的な1.5Vの乾電池に触れて通電しても体に影響がないのは明らかです。それは人体にも電気を流すまいとする「抵抗(Ω)」があるからですが、皮膚表面の抵抗は、乾燥している場合や発汗している場合、水に濡れている場合など、状況によって異なります。この抵抗の変化によって同じ接触電圧でも流れる電流が変わるため、危険度の目安も変わってきますので、第1種~4種までの段階に分けて「許容接触電圧」が決められています。


接触状態と許容接触電圧:(社)日本電気協会「低圧電路地絡保護指針」より

接触状態 許容接触電圧
第1種 ・人体の大部分が水中にある状態 2.5V以下
第2種 ・人体が著しく濡れている状態
・金属製の電気装置や造営物に人体の一部が常時触れている状態
25V以下
第3種 ・第1種、第2種以外の場合で、通常の人体状態において接触電圧が加わると、危険性が高い状態 50V以下
第4種 ・第1種、第2種以外の場合で、通常の人体状態において接触電圧が加わっても危険性の低い状態
・接触電圧が加わるおそれがない状態
制限なし

2 安全電圧

電撃の危険度は、電流によって決定されます。電圧の大きさは二次的要素であり、電撃を受けた時人体に流れる電流は、その時の人体抵抗を含めた電気回路の抵抗値が同じであれば、電圧が低いほど電流が小さくなり電撃の危険度は低下します。

電源は一般に電圧で表示されるため、電撃の危険度も電圧で表示したほうが理解されやすい為、国によっては人体に危険とならない程度の電圧を「安全電圧」と称しています。(例えば、ドイツ、イギリスで24V、オランダで50V)

日本では「許容接触電圧」という呼び方で、通常の状態では50V以下、著しく濡れている時は25V以下とされています。


【参考:人体反応と通電時間/通電電流(IEC)】

参考:人体反応と通電時間/通電電流(IEC)

①領域AC─1:通電電流が直線a(0.5mA)以下で示された領域.感知するが,通常,驚くような(startled)反応はない.

②領域AC─2:通電電流が0.5mAを超え,直線bまでの領域(5mA(成人男子に限れば10mA)以下であれば通電時間に無関係).無意識の筋収縮が起こるが,通常有害な電気生理学的影響はない.

③領域AC─3:通電電流が直線bを超え,曲線c1までの領域.無意識の激しい筋収縮・呼吸困難・回復性の心機能の興奮あり.硬直が起こり得る.通常,組織の損傷はない.

④領域AC─4:通電電流が曲線c1を超える領域.心拍停止・呼吸停止・火傷・その他の細胞損傷のような病生理学的影響が起こり得る.心室細動の確率は通電電流と通電時間の増加で増加する.曲線c1─c2間では約5%までの確率で,曲線c2─c3間では約50%までの確率で,曲線c3を超えた領域では50%を超えた確率で心室細動が起こる.

 

 

 

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