メニューボタン

【第1章】第2節 短絡

1.短絡(たんらく, Short circuit)現象

電気回路において電位差(電圧)がある2点間が、抵抗が小さい導体(例えば、電線)で接続されることを短絡といいます。

短絡現象には色々発生原因が有り、落雷、地震、台風、水害、自然火災等「自然の力」は人間の力では防ぎきれないこともありますが、この項での「短絡・短絡現象」については、主に人間の諸動作や経年劣化現象等によっての発生を解説します。

感電による死亡災害者数の状況(厚生労働省公表データより)

実際の電気設備の短絡は、電気を送る2つの相、又は3つの相の電気配線の被覆(電線を覆い保護するもの)が損傷し、それぞれの充電部分がむき出しになった状態で直接接触することなどによって起こります。

電気は電化製品や工具などといった負荷を接続することにより、そのエネルギーを、光・熱・力と言った別の形のエネルギーに変換して使われますが、負荷を通さずに直接に2相、又は3相間が接続(接触)した状態になると、別の形のエネルギーに変換されない為、電気エネルギーが消費されずに、非常に大きな電流が流れます。


電力=単位時間に電流がする仕事(量) 
P=VI=I²R

(ただし、P : 電力[W]、V : 電圧[V]、I : 電流[A]、R : 抵抗[Ω])


例えば、電圧100Vで使用する手持ち式グラインダーの抵抗値が15Ωの場合、オームの法則により計算上約7A(≒100V÷15Ω)の電流が流れることになります。すると、P=VIですから100(V)×7(A)≒700Wの電力になります。

もし回路上の電線同士の短絡が起こり、そのときの電線の抵抗値を0.015Ωとすると電流は約7000A、電力量は700,000Wという大きさになります。
(※あくまで考え方としての計算上の数値です)

短絡による非常に大きな短絡電流によってジュール熱やアーク放電が発生すると、配線等の損傷や機器の破損、取り扱い者の電気火傷等設備災害や人身災害、場合によっては火災や爆発などの発生に至るおそれがあります。


2.短絡による電気災害について

① 人身災害と設備災害
ジュール熱による電線溶断や絶縁電線の絶縁被覆の焼損
アークによる電気火傷
変圧器や発電機の焼損や遮断器の爆発

② 主な短絡の発生原因
電気工事や部品修理などで線間や端子間を短絡させるなどの作業ミス
絶縁電線、ケーブルなどの絶縁被覆の劣化や損傷

③ 短絡事故防止対策
過電流遮断器の設置(回路の短絡電流の遮断能力を有するもの)
電気機器の正常運転の実施
電気配線、スイッチ、接続器具等の絶縁点検の徹底
設備機器等の定期点検の徹底
工事等の際の停電作業の徹底

 

 

 

このページをシェアする

講習会をお探しですか?

 

受講者様のご希望に合わせ、以下のタイプの講習会もご用意しています

WEB講習
オンラインで会社や自宅で受講可能
出張講習
指定の会場へ講師を派遣いたします

▲ページ先頭へ