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【第1章】第5節 電気絶縁

1.電気絶縁とは

私たちの日々の生活や仕事において電気を使わない日は全くないと言っていいでしょう。それだけ身近にあり毎日接しているはずの電気ですが、幸いなことに「感電した」ということはほとんど聞きません。なぜでしょうか?

例えば扇風機には電気が流れるコードが付いていて、コンセントなどとつなぐことによって使用しています。使用中はコードの中や本体内部に電気が流れているはずですが、本体外側やコードに直接触っても感電しません。

当然と言えば当然ですが、これが電気絶縁ということです。「電気が流れないモノで電気が流れる部分を覆うことにより、人が触れても感電しない、あるいは電路同士が近づいても短絡しない」状態を作り、維持しているわけです。


2.導体と絶縁体

上述の「電気が流れないモノ」を「絶縁体」や「絶縁物」と呼び、逆によく流れるモノを「導体」と呼びます。

・絶縁体の例
マイカ、天然ゴム、ポリ塩化ビニル、紙、油、ガラス、磁器など

・導体の例
金、銀、銅、鉄、アルミニウムなどの金属、イオン溶液、炭素など

なお、これらのモノは全て同じ通しやすさや通しにくさではありません。例えば銀が銅より電気を通しやすい(流れやすい)ということは、多くの人が知っています。絶縁体についても同様に、流れにくい程度がそれぞれ違います。

また、いくら流れやすいからといって、高価な銀を普通の配線に使うわけにはいきませんので銅やアルミニウムを使ったり、絶縁物にしても用途や環境などで使い分ける必要があります。

電気設備や電気使用器具などは、このような導体と絶縁物を組み合わせて、安全に電気が使用できるように作られています。


3.絶縁劣化

電気を使用するうえで欠かせない絶縁物ですが、次のような要因で劣化していき、徐々に電気を通しやすくなっていきますので、いつまでも安全とは言い切れません。

このことを「絶縁劣化」といいます。

①温度、湿度、紫外線などの環境的要因

②過電流などの電気的要因(限度を超えた高い電圧により絶縁性を失い大電流が流れる状態となることを「絶縁破壊」という)

③振動、衝撃などの機械的要因

④過熱など熱的要因

従って、常日頃から絶縁物の状態を確認しておく必要があります。特に身近な電動工具類や機械・設備などは、定期的に点検しましょう。

この場合の点検には大別して作業者が行う日常点検、専門業者等が行う定期点検の二つがあり、特に作業者の皆さんは目視により使用する機械設備・工具類のケーブルやプラグ、プラグの差込口などに異常がないか点検してください。


4.絶縁抵抗

電気の流れにくさを「(電気)抵抗」と呼びΩ(オーム)という単位で表しましたが、特に絶縁に関する抵抗を「絶縁抵抗」と呼びます。実際に絶縁物の電気の流れにくさは何百万~何千万Ωというような大きな単位になってしまうので、通常絶縁抵抗にはMΩ(メガオーム・メグオーム、1MΩ=1,000,000Ω)という単位を使います。

この絶縁抵抗を計る測定器を「絶縁抵抗計」といいます。絶縁抵抗計は、本来電気が流れてはいけない2点間(例えば電動工具のプラグと外箱、分電盤内の任意の相と接地線など)に一定の電圧をかけ、電流を測定して抵抗で表示するものです。従って、絶縁が劣化していなければ電流は流れず、抵抗値は大きいものになります。


絶縁抵抗計

絶縁抵抗計

逆に小さな値になると、絶縁劣化してどこかに漏れている危険な状態かもしれません。

その判断の基準として、「電気設備に関する技術基準を定める省令第58条」に以下の内容が示されており、規定の絶縁抵抗値以上を有していなければなりません。


低圧の電路の絶縁性能

低圧の電路の絶縁性能

 

 

 

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