第2章:労働者数のカウント方法
第2章:労働者数のカウント方法
1. 50人ラインとは何か
労働安全衛生法では、「常時50人以上の労働者を使用する事業場」を基準として、追加の安全衛生管理義務が発生します。これを一般に「50人ライン」と呼びます。
⚠️ 重要ポイント
50人ラインは「企業全体」ではなく「事業場ごと」に判定されます。例えば、本社30人・支店25人の場合、どちらも50人未満のため追加義務は発生しません。
1-1. 労働者数のカウント方法
「常時使用する労働者」には以下が含まれます:
- 正社員(フルタイム・パートタイム問わず)
- 契約社員(期間の定めのある雇用契約)
- アルバイト・パートタイマー(1週間の労働時間が正社員の4分の3以上)
- 派遣労働者(派遣元・派遣先の両方でカウント)
派遣労働者のカウント方法(重要)
派遣労働者は、派遣元事業場と派遣先事業場の両方で労働者数にカウントされます。例えば、派遣会社から10人の派遣労働者を受け入れている場合、派遣先企業でも10人として計上し、同時に派遣元企業でも10人として計上されます。
具体例: A社(派遣先)が自社雇用45人+派遣受入10人の場合、A社は55人としてカウントされ、50人以上の義務が発生します。
✓ カウントに含まれない労働者
- 短時間労働者(週の労働時間が正社員の4分の3未満)
- 日雇い労働者(継続性がない場合)
- 業務委託契約者(雇用関係がない)
1-2. 「常時」の意味
「常時50人以上」とは、継続的に50人以上の労働者を使用している状態を指します。一時的な繁忙期のみ50人を超える場合は対象外です。
判断基準:
- 直近6ヶ月の月平均が50人以上の場合 → 50人以上と判定
- 季節変動がある場合 → 年間の平均値で判定
2. 50人以上の事業場に義務付けられること
2-1. 管理体制の整備
| 選任すべき者 | 業種・要件 | 選任期限 |
|---|---|---|
| 安全管理者 | 製造業、建設業など特定業種 | 14日以内 |
| 衛生管理者 | 全業種 | 14日以内 |
| 産業医 | 全業種 | 14日以内 |
| 安全委員会 | 製造業、建設業など特定業種 | 遅滞なく |
| 衛生委員会 | 全業種 | 遅滞なく |
2-2. 健康診断の報告義務
50人以上の事業場では、定期健康診断の結果を所轄労働基準監督署へ報告する義務があります。
⚠️ 注意事項
報告期限: 健康診断実施後、遅滞なく(通常は2〜3ヶ月以内)
提出書類: 定期健康診断結果報告書(様式第6号)
2-3. ストレスチェックの実施義務
50人以上の事業場では、年1回のストレスチェック実施が義務付けられています。
- 実施頻度: 年1回以上
- 対象者: 常時使用する労働者(パート・アルバイト含む)
- 実施者: 医師、保健師、精神保健福祉士など
- 報告義務: 実施結果を労働基準監督署に報告
2-4. 作業環境測定(該当業種のみ)
有害業務を行う事業場では、定期的な作業環境測定が義務付けられます。
測定対象となる主な作業場
- 粉じん作業を行う屋内作業場
- 特定化学物質を製造・取扱う作業場
- 有機溶剤を使用する作業場
- 鉛業務を行う作業場
- 騒音・振動作業場
3. 50人未満の事業場との違い
| 項目 | 50人未満 | 50人以上 |
|---|---|---|
| 安全管理者 | 任意 | 義務(特定業種) |
| 衛生管理者 | 任意 | 義務 |
| 産業医 | 任意 | 義務 |
| 安全委員会 | 不要 | 義務(特定業種) |
| 衛生委員会 | 不要 | 義務 |
| 健康診断の報告 | 不要 | 義務 |
| ストレスチェック | 努力義務 | 義務 |
4. 違反した場合の罰則
⚠️ 罰則規定
労働安全衛生法に違反した場合、以下の罰則が科される可能性があります:
- 50万円以下の罰金(安全管理者・衛生管理者・産業医の選任義務違反)
- 是正勧告・指導(労働基準監督署による)
- 企業名の公表(悪質な場合)
- 労災認定時の不利益(管理体制不備が事故原因と判断された場合)
5. 50人前後での人数変動時の対応
5-1. 50人を超えた場合
5-2. 50人を下回った場合
一度50人以上となった事業場が、その後50人未満になった場合:
- 即座の解任は不要: すぐに管理体制を解消する必要はありません
- 継続を推奨: 安全衛生管理は労働者保護の観点から継続が望ましい
- 報告義務の変更: 健康診断結果の報告義務はなくなります
- ストレスチェック: 義務から努力義務に変更
ベストプラクティス
労働安全衛生法の義務は「労働者の安全と健康を守る」ことが目的です。50人未満に減少したとしても、安全衛生管理体制を安易に解消することは推奨されません。特に、産業医による健康管理、委員会での労使協議などは、企業規模に関わらず労働者の健康確保に重要な役割を果たします。
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