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第8章:定期健康診断と報告義務

8-1. 50人以上の事業場における健康診断報告義務

労働者が50人以上の事業場では、定期健康診断を実施した後、その結果を労働基準監督署に報告しなければなりません。49人以下の事業場には報告義務はありません。

⚠️ 報告義務の概要
  • 対象:常時50人以上の労働者を使用する事業場
  • 報告時期:定期健康診断実施後、遅滞なく
  • 報告様式:定期健康診断結果報告書(様式第6号)
  • 提出先:所轄の労働基準監督署

8-2. 定期健康診断の実施

実施頻度

定期健康診断は、年1回以上実施しなければなりません。一般的には、毎年同じ時期(例:4月、10月など)に実施します。

検査項目

検査項目対象者
既往歴・業務歴の調査全員
自覚症状・他覚症状の有無全員
身長・体重・BMI・腹囲測定全員
視力・聴力検査全員
胸部X線検査全員
血圧測定全員
貧血検査(赤血球数、血色素量)全員
肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)全員
血中脂質検査(LDL、HDL、中性脂肪)全員
血糖検査全員
尿検査(尿糖、尿蛋白)全員
心電図検査全員
省略可能な項目

医師が必要でないと認めた場合、35歳未満(40歳を除く)の労働者については、一部の検査項目を省略できます(身長、腹囲、貧血、肝機能、血中脂質、血糖、心電図)。ただし、実務上はすべての項目を実施することが推奨されます。

8-3. 健康診断結果報告書の作成と提出

報告書の様式

「定期健康診断結果報告書」(様式第6号)を使用します。厚生労働省のウェブサイトからダウンロード可能です。

記載内容

  • 事業場の名称、所在地
  • 定期健康診断を行った年月
  • 在籍労働者数
  • 定期健康診断を受けた労働者数
  • 有所見者数(検査項目ごと)

提出時期

⚠️ 提出期限

定期健康診断実施後、遅滞なく提出する必要があります。一般的には、健康診断実施から1~2ヶ月以内を目安としますが、法令上の明確な期限はありません。できるだけ早く提出することが推奨されます。

8-4. 健康診断後の事後措置

健康診断を実施しただけでは不十分です。結果に基づき、適切な事後措置を講じる必要があります。

措置内容
結果の通知労働者本人に健康診断結果を通知(遅滞なく)
医師の意見聴取有所見者について、医師(産業医)の意見を聴く
就業上の措置医師の意見に基づき、就業制限・勤務軽減等の措置を検討
再検査・精密検査の勧奨要再検査・要精密検査の労働者に受診を促す
保健指導生活習慣改善の指導、保健師等による面談
産業医の関与

産業医は、健康診断結果に基づき、就業上の措置について意見を述べる重要な役割を担います。有所見者の情報を産業医に提供し、適切な助言を得ることが重要です。

8-5. 健康診断実施の実務フロー

  1. 実施計画の作成(健康診断の2~3ヶ月前):実施時期、医療機関の選定、予算確保
  2. 労働者への周知(1ヶ月前):実施日程、受診方法の案内
  3. 健康診断の実施:医療機関で実施(事業場内または外部委託)
  4. 結果の受領(診断後1~2週間):医療機関から結果を受け取る
  5. 労働者への通知(遅滞なく):個人結果を本人に通知
  6. 産業医への報告:有所見者について産業医に報告し、意見を聴く
  7. 事後措置の実施:産業医の意見に基づき、必要な措置を講じる
  8. 報告書の作成・提出:労働基準監督署へ報告書を提出

8-6. よくある質問

Q1: 健康診断を受けない労働者がいる場合は?

A1: 事業者は労働者に健康診断を受けさせる義務があり、労働者も受診する義務があります。受診を拒否する労働者には、繰り返し受診を促し、それでも拒否する場合は就業規則に基づく懲戒処分も検討できます。

Q2: 派遣労働者の健康診断は誰が実施しますか?

A2: 派遣労働者の健康診断実施義務は派遣元企業にあります。派遣先企業ではなく、派遣元企業が実施し、報告書を提出します。

Q3: 健康診断費用は誰が負担しますか?

A3: 事業者が実施義務を負う健康診断(定期健康診断、雇入時健康診断など)の費用は、事業者が全額負担しなければなりません。労働者に費用負担させることはできません。

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